教授挨拶
この度、令和7年3月、東北大学大学院歯学研究科顎口腔矯正学分野の第5代教授を拝命しました金髙と申します。伝統ある当分野を引き継ぎ、責任の重さを日々感じております。
私たち顎口腔矯正学分野では、ヒトの成長発育、加齢にともない変化する顎口腔機能系における異常な形態や機能に対する診断・治療に関する研究を行うとともに、それらの原因を追究する新たな診断法、治療法の開発、歯の移動や顎顔面領域の成長メカニズムの解明を目指し、多方面方面にわたる臨床的・基礎的研究を行っております。具体的には、ヒトを対象とした研究プロジェクトとして、カスタムメイドブラケットの臨床的有用性を評価するRCT研究、歯科矯正用アンカースクリューに関する臨床研究、矯正治療による顎口腔機能変化の解析、咬合と脳機能との関連性解明など、先進的かつ独創的な臨床研究を行っております。また、基礎的な研究プロジェクトとして、歯の移動メカニズムやメカニカルストレス応答機構の解明、新規矯正歯科用材料の開発など新しい技術開発に取り組み、矯正歯科治療と基礎研究成果を融合一体し、歯科矯正学における技術基盤の向上と新展開を目指し、医療全体の発展に貢献しうる研究を行っているところです。
近年、矯正歯科治療は、デジタル技術、材料学の飛躍的な進歩により、従来の診断・治療法が大きく変わってきました。現在のところ、矯正歯科治療は「エッジワイズ法」が世界的な標準治療法ですが、この治療法は今から約100年前に「近代歯科矯正学の父」と呼ばれるエドワード・H・アングル先生(Dr.
Edward H. Angle)によって発表されたものです。当分野では、第2代教授の三谷英夫先生がアングル先生の孫弟子にあたることから、これらの伝統的治療技術の継承はもちろんですが、最新のデジタル・AI技術についても積極的に取り入れ、デジタル印象装置(口腔内スキャナー)、デジタルセットアップ、3次元データに基づく治療計画立案、カスタムメイドブラケットなど、患者さんにより良い医療の提供を進めております。
教育に関しても、学部教育、研修医教育、大学院教育、そして生涯教育に繋がる矯正歯科教育のシームレス化を進め、個々の教育についても更なる充実を図っております。日常の仕事の中でも、人の和を大切にし、周りの先生方に教えられ、そして、自ら教える、ということが当たり前となるような教室にしていきたいと思っております。
もとより浅学菲才の私には身に余る重責ではありますが これまで偉大な諸先輩方の御努力により築き上げられてきた東北大学大学院歯学研究科顎口腔矯正学分野の更なる発展のため、粉骨砕身努力する所存でおります。
今後とも、なお一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
令和8年10月1日
金髙 弘恭
